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ATPは身体のエネルギー源
身体はATPがなければ生きていけない
身体が生きていく為には「ATP(エネルギー)」が必要になってきます。
ATPがあるから、身体を動かしたり呼吸をしたり、心臓が動いています。逆に言えば、生命活動に必要なATPが足りない状況になってくると慢性的疾患の原因となってしまって、ATPがなくなれば死んでしまいます。
いわゆる生命のエネルギーの源ということです。
そんなATPは通称「アデノシン三リン酸」と呼ばれていますが、目に見えないエネルギーとは何なのか?エネルギーを作るための食事について書いていきたいと思います。
ATPはエネルギーを蓄える物質
「ATP(アデノシン3リン酸)」はエネルギーだと書いてきました。
が、もっと厳密に言えばATPはエネルギーを蓄えられる物質であり、エネルギーが満タンに詰まった物質です。
つまり、逆に言えば空っぽの状態の時もあり、これを「ADP(アデノシン2リン酸)」と言います。
- ATP = エネルギーが満タンの状態
- ADP = エネルギーが空っぽの状態
あくまでイメージですが、スマホ等を使うと充電がなくなり使えなくなります。そして、充電をしてまた使うといった感じです。
「ADP」から「ATP」にする為の充電は生きている限り、ずっと行われていきます。
なら、ATPを蓄えるためにはどんな栄養素が必要なのかがポイントになってきます。
ATP「エネルギー」の材料
ATP(エネルギー)を作るにはもちろんの事、必要な材料があります。
- 酸素
- 糖質or脂質orタンパク質
酸素とこれらの栄養素を使って身体はATP(エネルギー)を作り出すんですが、食べたものがそのままエネルギーに変換されるわけではありません。
食べたものがそのままエネルギーとして使えるわけではない
エネルギーを作るためにはしっかり食べること!ってのが基本です。
けど、食べたもの、例えば「ご飯やパン、肉や魚」などを食べたからと言って、そのままエネルギーとして使えるわけではありません。
食べたものが体内に入って、身体の中であらゆる化学反応を起こして最終的にATP(エネルギー)へと変換されて使えるようになっていきます。
「食べたものからATPへと変換」しないとエネルギーとして使えないんですが、言うなればこのATPを作るために人は食べ物を食べているということになります。
そして使い切れなかったエネルギーは、エネルギーが足りなくなった時に身体を守るために、脂肪として蓄えられていきます。いわゆる、体脂肪ですね。
変換されたATP(エネルギー)はあらゆる場所へと供給する
こうやって、使えるエネルギーとして変換されたATPは身体のあらゆる場所へとエネルギーとして使われています。
- 身体を動かす
- 心臓を動かす
- 筋肉を動かす
- 呼吸をする
- 胃や腸を動かす
- 代謝をおこなう
ATPは上記のように、それぞれに供給されるように使いやすい形としてエネルギーを蓄えていくことから、ATPは『生体内のエネルギー通貨』とも呼ばれています。
食べる材料によって作られるATPの量の違い
ATP(エネルギー)を作る材料として「糖質、脂質、タンパク質」がありますが、この中でもタンパク質に関しては、エネルギーにはなるんですが、身体の構成成分として成り立っているのでエネルギーとしては少し使いにくく、あまり期待できません。
つまりエネルギー源として使いやすいのは、「糖質と脂質」ということになります。
糖質、脂質、どっちがエネルギーとして効率がいい?
結論から言うと脂質のほうがATP(エネルギー)を蓄えやすく、健康とダイエットにも向いています。
まず簡潔に言うと、糖質、いわゆる1分子のブドウ糖から作られるATP(エネルギー)は合計で38分子作られます。脂質、いわゆる1分子のパルミチン酸(飽和脂肪酸)から作られるATP(エネルギー)は129分子作られます。
この数字を見れば明らかに脂質のほうがATP生産力が高いことは一目瞭然です。
- 注意
- 脂肪酸の種類によって作られるATPの数は異なります。
糖質(ブドウ糖)からATPを作る2通りの作られ方
ブドウ糖には酸素を使ったATPの作り方と、酸素を使わないATPの作り方が2通りのルートがあります。
- ①ブドウ糖と酸素を使ってATPを作る
- ②ブドウ糖と酸素を使わずATPを作る
①の酸素を使った場合はミトコンドリア内に入り36分子のATPが作られ、②の酸素を使わない場合は2分子のATPしか作られません。
つまり、1分子のブドウ糖から作られるATPは①の酸素を使った場合と②の酸素を使わない場合を合わせて、38分子のATPが作られるということです。
が!脂質の129分子のATPに比べると少なく、糖質(ご飯、パン、麺類、甘いお菓子)などは食べても食べてもエネルギーがなかなか貯まらず食べすぎてしまう傾向にもあると言われます。
糖質を食べたときの分解過程を簡易的にまとめたものが下図になります。
脂質(中性脂肪)からATPを作る2通りの作られ方
脂質に関しても、ATPの作り方には2通りのルートがあります。脂質(中性脂肪)は3分子の脂肪酸とグリセロールが結合したものになります。
- ①脂肪酸(3分子)
- ②グリセロール
つまり、エネルギーが不足した時には、脂肪細胞に蓄えられた脂肪が加水分解され①の脂肪酸と②のグリセロールにわかれます。
①の脂肪酸は分解されていくことで「β-酸化」してミトコンドリア内に入り、代謝をしていく事で129分子のATPが作られていきます。
②のグリセロールは少しややこしくなるんですが、糖質からエネルギーを作る時におこる解糖系の途中に割り込んで、「糖新生」を起こしグルコースに変換されます。
ミトコンドリアについては下記記事にて書いています。
糖質と脂質のATPの主要性
主要なエネルギー源は、糖質or脂質どちらがいいのか?といった話になるんですが、これは断トツに脂質に軍配があがります。ただ、あくまでミトコンドリア代謝まで入った場合のお話になります。
糖質は即効性エネルギーになるが長くは続かない
糖質(グルコース)、いわゆるブドウ糖は酸素を必要としない嫌気的解糖に進むと、2ATP作られ即効性のエネルギーとして活用されます。が、持久性はなく、またすぐにエネルギー不足になってしまいます。そして、副産物として「乳酸」を作り出してしまいます。
疲れた時にはチョコレートを食べるというのはこういった理由からですが、一気にとると過剰になることであふれ出し体脂肪として蓄えられることと、乳酸がたくさん作り出されるという事にもなります。
酸素を必要とする好気的解糖でミトコンドリア内に入っても合計で36ATPしか作れく、両方合わせても38ATPなので脂質の129ATPに比べると持久性は少なくなり、過食にもなりがちです。
脂質は持久性に優れたエネルギーだが即効性はない
脂質(脂肪酸)は、先ほど書いたように129ATPも作られ、長時間のエネルギー源として働きかけます。が、即効性のエネルギーではないのですぐには使えなく少しずつしか取り出せません。
ただ脂質はエネルギー源だけでなく細胞膜を作ったりと身体の構成成分にもなります。
結局は糖質、脂質どっちがいい?
主要とするエネルギー源をまとめてみると以下のようになります。
- 糖質エネルギー
- 糖質はエネルギー源としてだけ使える
- 酸素なしの嫌気的解糖だと作られるATPが2分子と低エネルギー
- 嫌気的解糖だと即効性エネルギー源になる
- 嫌気的解糖だと副産物として「乳酸」が作られる
- 好気的解糖で作られるATPは36分子で嫌気的解糖と合わせて38分子となるが中エネルギー
- 脂質エネルギー
- 脂質はエネルギー源だけでなく細胞膜など身体の構成成分にもなる
- パルミチン酸(飽和脂肪酸)から作られるATPは129分子と高エネルギー
- 即効性エネルギーでなく少しずつ使える持続性エネルギー
今回の話は自分の身体のエンジン、エネルギーのメインをどれにするのが一番なのか?という事です。
脂質エネルギーは糖質エネルギーに比べると即効性はありませんが、長くエネルギーが持つうえに、細胞膜などの構成成分ともなります。
糖質エネルギーは中エネルギーにはなってくれるんですが、即効性エネルギーも作られる事で副産物として乳酸がつくられてしまいます。
だったら、脂質エネルギーをメインエンジンにした方が身体には良いということになります。もちろん、どちらも使い切れないほどのエネルギーを取り入れると体脂肪として蓄えられてしまいます。
- 注意
- 乳酸は酸性よりの有機化合物です。過剰に乳酸が蓄積すると血液が酸性に傾き乳酸アシドーシスになる。慢性疾患の原因となる。
まとめ
あまり化学的には書かず簡易的に書いてしまいましたが、エネルギー源となるものは糖質と脂質であり、タンパク質は身体の構成成分となり、エネルギーとしては不十分なので省略しました。
そして、エネルギーとなるATPの95%を作っているのはミトコンドリアです。
ミトコンドリアについては下記記事にて書いています。
そして今回はATP(アデノシン3リン酸)についてまとめてみました。
- ATP(アデノシン3リン酸)は生命のエネルギーの源
- ATP = エネルギーが満タンの状態
- ADP = エネルギーが空っぽの状態
- ATPは『生体内のエネルギー通貨』
さらにATPを作るための栄養素は何が適しているのかという事でした。
- 1分子の糖質から作られるATPは合計38分子
- 1分子の脂質から作られるATPは合計129分子
「ATP」がたくさん作られると元気
「ATP」が少ないとエネルギー不足
脂質も糖質もATP(エネルギー)を健康的に作るにはミトコンドリア内の代謝経路に入ることが大切になります。その為にも栄養、運動ともにミトコンドリアを活性化させていくことが重要ですね。
- 補足
- 脂質代謝はミトコンドリアだけ
中性脂肪を減らすためには、使い切れなく蓄えられた脂肪エネルギー(体脂肪)はミトコンドリアによってエネルギーとして使われていきます。つまり、脂質の代謝はミトコンドリアでしか行えないということなので、ミトコンドリアをしっかりと活性化させてあげないといけません。